呉のやぶ

呉の秋祭りのシンボル的存在、「やぶ」の今と昔をお伝えします。

警固屋の祭り(3)(森土恵神社編)

秋分の日に始まって文化の日まで続く「呉の秋」。

毎週、どこかしらの神社で祭りが行われ、やぶ好き、祭り好きにはたまらない季節ですが、一つだけ悩ましいことがあります。

それは日程の重複。

今年も既に多くの祭りに足を運びましたが、基本的にどの日も複数の神社で祭りが開催されているため、毎回はしごをしています。

例えば、秋分の日は2箇所、10月第1日曜日は2箇所、第2日曜日は3箇所、第3日曜日は4箇所といった具合*1

来週の文化の日に至っては、途方もない数の祭りが同時多発的に行われます。

そのため、欲張ってできるだけ多くを観ようと思うと、一箇所に留まり続けることができず、毎回、後ろ髪を引かれる思いをしながら途中で抜ける必要があります。

そんな中、ただ一つの例外があるとしたら、それは10月第4日曜日。

この日に限っては祭りがあるのは森土恵神社のみ。

一箇所だけなので、時間を気にせずゆっくりと楽しむことができます。

この森土恵神社ですが、森添神社とも言うようです。

 

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ただ、地元の人にとっては、森土恵神社でも森添神社でもなく、「もんでんさん」という呼ばれ方が最も馴染みがあるとのこと。

その「もんでんさん」の祭りに初めて足を運んだのは昨年の秋。

何の予備知識もなく観に行ったため、「ニグロがいっぱいいる」ことに驚きました。

ニグロというのは、宇佐神社の祭りで西区から出ているやぶのこと。

もちろん、何を持ってニグロと呼ぶのか、その厳密な定義は分かりませんが、少なくとも素人目には10匹近くいたやぶの全てがニグロに見えました。

実際、宇佐神社の祭りに出ている2匹のニグロがここでの祭りにも出ていると地元の方から聞きました。

一口にやぶと言っても、その種類は様々なので、とりわけニグロが好きという人にとっては、この「もんでんさん」の祭りは贅沢に拝める絶好の機会でしょう。

 

さて、今年も昨年に引き続いて、「もんでんさん」に行ってきました。

まずは笛や太鼓の音を頼りにやぶの居場所を探し、13時頃、移動中の一団に追いつきました。

余談ですが、やぶを探すときはいつもこの「聞き耳を立てる」という方法に頼っています。

場所としては、国道487号線の警固屋5丁目の信号から法晃寺方面に200m余り坂道を登ったところ。

この辺りは、瀬戸内の眺望がよく、海を背景に俵を揉む様子が絵になります。

 

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また、坂道を登るやぶも海が背景になるだけで、「もんでんさん」の祭りらしい光景になります。

 

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坂道の中腹で何度か俵を揉んだ後、しばし休憩。

そのとき、法被を着た女の子をやぶがさっと抱き上げるシーンを目にしました。

突然の出来事にてっきり女の子は泣き出すのかと思いきや、実に安心しきってやぶに身を任せている様子。

親子のような自然な振る舞いで、見ていて和みます。

 

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その後、登ってきた坂道とは別の方角から2匹のニグロが合流。

この2匹を先頭に神社への移動が再開しました。

 

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ここでもやはり移動中の眺めが素晴らしく、(やぶの)写真を撮るときの背景の重要性に改めて気づかせてくれます。

 

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また途中、俵みこしが通るのも精一杯というほど道幅の狭い急勾配を登りましたが、こうしたルートも「もんでんさん」の祭りならではの光景かもしれません。

 

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そして、いよいよ神社に到着したのが14時頃。

裏からの入り口も雰囲気のある神社です。

 

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神社に着いてからは、まずは先頭を歩いていた2匹のニグロとの俵もみが始まりました。

 

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それが終わると、続いて全てのやぶが加わり、改めて俵もみが再開。

20分余り、熱い時間が続きました。

 

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その後、本殿で太鼓が叩かれ、神事も無事終了。

 

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途中で抜けることもなく、最後まで祭りを見届けて、15時過ぎに「もんでんさん」を後にしました。

帰りの坂道ものんびりと歩いて下ることができ、ゆったりとした秋の一日を送ることができました。

 

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*1:記載の数値は、祭りが行われている神社の数ではなく、私が今年、足を運んだ神社の数です。