呉のやぶ

呉の秋祭りのシンボル的存在、「やぶ」の魅力をお伝えします。

向日原神社の祭り

押込のやぶと言えば、アカ、シャク、ガッソー。

今年もこれらのやぶを観に、向日原神社の祭りを訪ねる予定を立てていましたが、せっかくならこれまで行ったことのない時間帯を狙おうと、今回は13時過ぎに押込入り。

当然、初めての時間帯なので、どこに行けばやぶがいるのか皆目、見当がつきません。

頼みの「聞き耳を立てる」技もこの日は空振り。

神社周辺を歩き回ったものの、それらしい「音」は聞こえてきませんでした。

こんなとき、頼れるのはやはり地元の人。

運よく、それらしき方が道を歩いていたので、やぶの居場所について尋ねてみたところ、「今年は午後から◎◎家を出発する予定ですよ」と教えていただくことができました。

ありがたいことに◎◎家へのおよその行き方まで案内くださり、お陰で迷わずに済みました。

これ一つとってみても、向日原神社の祭りが押込の人たちみんなのものとして、浸透していることが伺えます。

地域コミュニティの希薄化が叫ばれて久しい世の中ですが、こと押込においては祭りが当地の人々を繋ぐ一定の役割を果たしているのかもしれません。

さて、教えてもらった方角に向かって歩いていると、早速、やぶが一匹、視界に入りました。

よく見ると、それはガッソー。

 

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まるで何かを見つけたかのようにこちらを凝視しています。

まさか自分が狙われているのではと一瞬たじろぎましたが、ターゲットは私のはるか後方にいた子どもたち。

相当離れているようにも見えましたが、押込のやぶはこの程度の距離は全く問題にしません。

次の瞬間には、パッと駆け出し、あっという間にトップスピードに達しました。

 

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駆け出しの瞬間

 

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トップスピードに乗るガッソー

 

そのまま速度を緩めることなく、瞬く間に子どもたちとの間合いを詰め、怖がらせることに成功。

さすがと唸らせる一幕です。

 

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一仕事終えて引き返すガッソーの悠然たる歩きっぷりが絵になります。

やぶの所作を心得た相当なベテランなのかもしれません。

その後、しばらくすると◎◎家を出たと思われる祭礼一行が目の前を通り過ぎて行きました。

 

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その際、一際目に留まったのが上の写真の大きな「傘」。

これは、先日、栃原の竹内神社の祭りで目にしたものとよく似ています。

 

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竹内神社の祭りで目にした「傘」

 

いつものごとく、祭り関係者の方に「これは何ですか」と尋ねていると、たまたま目の前にいた先ほどのガッソーが「稚児が入るための傘」とさり気なく教えてくれました。

とりわけ昔は稚児が多く、この下に入って移動していたそうです。

それにしても押込、栃原の両傘はよく似ています。

かつては両地区とも同じ本庄村*1だったため、似通った民俗文化があっても不思議でないのかもしれません。

 

宮入までの道中でもやぶはやはり人気者。

我が子を抱いてもらい記念写真を撮ろうとする光景は、押込においても定番のようです。

 

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子どもにとっては大変な迷惑かもしれませんが、微笑ましいシーンです。

ご家族にとっても思い出深い一枚になるに違いありません。

 

神社まであと僅かの距離になったところで、ようやく、アカとシャクを間近でとらえることができました。

 

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アカ

 

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シャク

 

相変わらず、面の年季の入りようが目を引きます。

 

ここで一旦、一行と離れ、神社の境内に上がってみました。

そこで見た不思議なものがこちら。

 

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社殿の脇で鍋を炊いていたのです。

見たところ中身は沸騰した湯。

聞くと、この湯を使って神事が行われるとのこと。

実際にどう使われるのか、見学してみたいところでしたが、あいにくスケジュールの関係でこの日は断念。

再び、石段を降り、この日、最もお世話になったガッソーに無言のお礼を伝え、2016年10月第3日曜日の押込の地を後にしました。

 

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*1:明治22年、町村制の施行に伴い、栃原村、苗代村、押込村、平谷村、川角村が合併し、発足。