あっという間の42日でした。
今年、観に行った祭りの数は全部で24箇所。
撮った写真の数は約7,000枚。
その内、「これはいい!」と思って、Facebookページやブログに投稿・掲載した枚数は157枚でした。
打率にすると2厘(2.2%)という低さです。もともと写真に関しては全くの素人で、とにかく枚数を撮って奇跡の一枚を狙うという進歩のない撮り方をしています。
さて、そんな私が「呉のやぶ」の写真を撮り、それをインターネット上に投稿するようになって早4シーズンが経過しました。
今ではすっかりライフワークのようになっていますが、どうしてこんなことをしているのか、たまに聞かれることがあります。
基本的には、「好きだから」「楽しいから」というのが一番の本音で、いい歳をした大人が無邪気に一個人の趣味として楽しんでいるだけです。
ただ、きっかけとなる動機としては、「やぶに関する情報を整理したい」というのがありました。
以前、「『呉のやぶ』の楽しみ方」の記事で語ったように、一口に「やぶ」と言っても、その中身は神社ごと、あるいは奉賛会や地区ごと、さらには一枚一枚の面ごとに実にバラエティに富んでいます。
「やっぱりうちのやぶが一番じゃ」と多くの人が地元のやぶに対して抱いている思い入れの背景には、こうした著しいまでのローカル性と多様性があるのです。
ところが、そのローカルで多様なやぶ情報は、地元の人たちの間でアナログな知識としてごく当たり前に共有されているのですが、(私がそうであったように)地元外の人には断片的な形でしか触れることができませんでした。
そこで、そうしたアナログなやぶ情報をある程度整理された形でインターネット上に集約し、興味を持った誰もが簡単にアクセスできるようにできないだろうかと考えるようになりました。
その具体的方法が、Facebookページ「呉のやぶ」の立ち上げであり、そこで写真という「情報の塊」一本に絞って、その整理を行ってきました。
Googleは、「世界中の情報を整理し、誰もがそれに簡単にアクセスできるようにする」という(野心的な)社是を掲げて様々な事業活動を行っていますが、少し背伸びをして言うと、私がやっていることはその「やぶ情報」版のようなものです。
その意味で、これまで特化してきた写真の投稿に飽き足らず、今年、「呉のやぶ」ブログという文字を使った「情報整理」に活動範囲を広げたのは、自然な流れだったのかもしれません。
ただ、写真の場合は、情報の理解や解釈については見る人に委ねればよかったのですが、ブログとなると文章という形で私自身の理解や解釈も発信することになります。
そのため、事実と異なることを書いてはいけない、あるいは関係者の方や地元の方に(意図せずして)不快な気持ちを抱かせてはいけないという、ブログならではの注意すべき点がありました。
幸いにもそうした事態を招くことなく、無事に18本の記事を届けることができたのは、一にも二にも執筆、投稿に際して多大な協力をしてくださった祭り関係者の方や地元の方のお陰です。
その大半は、元々、面識があったわけではなく、この趣味を続けている過程で偶然出会った方です。
そういった方々が忌憚なくお話を聞かせてくれ、またお忙しい中、私の書いた下書きに目を通してくださいました。
こうしたことがなければ、到底、ブログを書くなどできなかったでしょう。
この場を借りて改めて感謝申し上げます。
感謝という意味では、祭り関係者や地元の方のほかにも、どうしても触れておきたい方がいます。
それは、「警固屋の祭り(3)(貴船神社編)」の記事で紹介した65年前の写真を送ってくださった方です。
昭和25年当時、お父さまが二番やぶ(3匹写っているやぶの中央)を務めておられたそうで、ご親切に貴重な写真をお寄せくださいました。
祭りをやりきった人たちが見せる、和やかで清々しい雰囲気が全員の表情に表れていて、ずっと眺めていても飽きることがありません。
私が撮ったものではありませんが、ブログに掲載した写真の中ではもしかするとこれがベストフォトだったかもしれません。
私の写真もいつか半世紀以上を経て、それを見た人の心を揺さぶるような一枚に育てばと思っています。
写真を提供してくださった方の亡きお父さまも天上から今年の俵もみを見物されていたでしょう。
ブログの末尾でこう書いていたとき、恥ずかしながら、一人目頭が熱くなりました。
そんなお父さまにも喜んでもらえるような記事を書かなくてはとブログに対する熱が一層入るきっかけにもなりました。
そして忘れてはならない、おそらく私が最も感謝しなくてはならないのは、今、こうしてブログを読んでくださっている一人ひとりの読者の方かもしれません。
一個人の趣味で行っていることとはいえ、自分でも驚くほどたくさんの方からいただく「いいね!」がどれほど励みになっていることでしょうか。
好意的なご支持は「いいね!」だけではありません。
故郷を離れ、今は県外で暮らしている方が、Facebookページやブログをご覧になられて、懐かしさをコメントしてくださっています。
自分が行っていることがこういう形でも役に立っていることに気づかされ、「私の趣味も捨てたもんではないなあ」と感慨深い気持ちになりました。
今までにも増して、そんな感謝の気持ちで満たされながら今シーズンを終えられたのは、望外の幸せです。
来シーズンも一枚でも多く「奇跡の一枚」が撮れるよう、また喜んでもらえる記事が書けるよう、これからもやぶ熱を燃やし続けたいと思います。
来年、またお会いしましょう。
カメラを片手に、太鼓や笛の音を、聞き耳を立てて探している人がいたら、きっとそれは私です。
新たな出会いを楽しみにしています。