呉のやぶ

呉の秋祭りのシンボル的存在、「やぶ」の今と昔をお伝えします。

警固屋の祭り(1)(宇佐神社編)

宇佐神社の祭りと言えば、北区のカッパ、中央区のヨダレ、西区のニグロが真っ先に思い浮かびます。

と言うか、それが「全て」と思っていたのですが、先日、「よごろの日の昼間に中央区からムシクイという古い面のやぶが出ることがある」という話を耳にしました。

そのとき見せてもらったムシクイの写真がこちらです。

 

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1998年9月22日撮影(撮影者不明)

 

確かにヨダレと同じ柄の衣装ですが、ヨダレとは明らかに違った顔つきをしています。

これは是非とも写真に収めたいと思い、今年は祭り(例大祭)だけでなく、よごろの日も日中、鍋地区へ足を運びました。

手がかかりは20年近く前に撮られた一枚の写真のみ。

それを片手に宇佐神社とその付近を14時から15時にかけて歩き回りましたが、あいにくムシクイとは遭遇しませんでした。

地元の方に聞くと、「昨日(9/21)は出ていたが、今日(9/22)は出ない」とか。

ということで今回は断念。

 

よごろの前日にもやぶが出ていることに軽い驚きを覚えましたが、詳しく聞くと鍋地区では昔から祭りの数日前から(ムシクイに限らず)やぶが出ているとのこと*1

それを聞いて、そういえば以前、「子どもの頃(数十年前)、祭りの日が近づくと学校帰りによくやぶに追いかけられていた」という話を耳にした記憶がよみがえってきました。

「追いかけられていた」というのは、よごろの日だけでなく、その数日前からだったのでしょう。

言うなれば鍋のYabu Week。

やぶ好き(特に子ども)にはたまらない期間です。

その「追いかけるやぶ」という昔ながらの光景がこちらです。

 

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私も小学生だった頃(昭和50年代)、地元の神社のやぶに追いかけられていました。

一年で最も楽しみにしていた日です。

この原風景とも言える懐かしいシーンに出くわした今回、久々に「逃げてみたい」という衝動にかられました。

 

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鍋桟橋のバス停付近で二匹のニグロを見かけた後、宇佐神社に向かいました。

そこでは境内に続く石段の下から望遠レンズの距離感を確認。

 

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翌日の祭りでは、この石段が俵もみの舞台になります。

(今春、一念発起して買った)カメラの位置を決めたところで、この日は神社を後にしました。

 

そして迎えた祭り当日。

今年は13時半頃、鍋入りし、国道487号線沿いを北から南(神社方向)に向かって歩きました。

 

宇佐神社までの道中、撮った写真がこちら。 

(上がヨダレ、下がニグロ)

 

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その間、路上でも俵がもまれ、神社に到着したのが14時頃。

いよいよ石段での俵もみの始まりです。

前日に決めた立ち位置でカメラを構え、撮影することおよそ30分余り。

例年にも増して激しい俵もみでした。

 

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俵もみが終わった後は、境内はさながらやぶとの記念撮影会の舞台になります。

今年も泣き叫ぶ我が子をやぶに抱いてもらおうとたくさんの人で賑わっていました。

ここではやぶはスターそのもの。

こうした祭りならではの光景の中、目に留まったのがこちらのやぶ。

 

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ヨダレと同じ衣装ではあるものの、明らかにヨダレではない。

「もしかしたらムシクイ…?」

地元の方の話では、今年はムシクイの新面を本例祭の日に出すことになっていたそうです。

よごろの日は、お目当の古い面のムシクイに遭遇できませんでしたが、もしこれがそうなら思わぬ形で新面のお披露目に立ち会うことができたことになります。

 

こうしてムシクイ(と思われるやぶ)を写真に収めた後、境内を降りました。

石段を下る途中、恰幅の良いカッパと遭遇し、最後の一枚を撮影。

 

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帰り際に今年初のいが餅を買って、家路につきました。

 

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宇佐神社の祭りで幕を開けた呉のやぶシーズンは、これから文化の日(11/3)まで約40日間、続きます。

今年から始めたこの「呉のやぶ」ブログでは、今回の記事のように撮影の舞台裏や、市外や県外の方が初めてやぶを観に行くときに参考になると思われる情報などにも言及しながら、撮った写真を紹介していこうと思います。

今回はその第一弾でした。

 

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*1:あいさつ回りを行うため。